ミュージアム・レポート
ジュサブロー

ジュサブロー
東京都中央区日本橋人形町3-6-9 URL: http://www.konishi.co.jp/jusaburo/
「好色五人女」八百屋お七
制作中の寿三郎さん



「阿蘭陀異聞」モルガンお雪


斉藤道三
歌舞伎と人形芝居で栄えた町
人形町は、下町風情を今も色濃く残す町。かつては歌舞伎も上演され、人形芝居の小屋が立ち並び、人形師が多く住んでいました。

1996年12月、その人形町に現代を代表する人形師、辻村寿三郎さんが人形博物館「ジュサブロー館」を公開。今ではシンボル的存在です。

可愛らしい「花うさぎ」の暖簾の向こうには、不思議な魅力が万華鏡のように散りばめられた、寿三郎さんの世界が待っています。
活躍の場は、日本から海外まで
1973年〜1975年にNHKで公開された人形劇「新八犬伝」と「真田十勇士」は平均視聴率20%〜30%という、当時の子供番組としては爆発的な人気で、辻村寿三郎さんの人形美術は全国的な話題となりました。

その後も舞台や映画の演出・脚本・衣装デザイン、アートディレクター、ジュエリーデザイン、創作人形の発表など多方面にわたる活躍で、数々の賞を受賞され、国内だけでなく、海外でも注目されている方です。

「ジュサブロー館」の1階には寿三郎さんのアトリエがあり、制作はすべて公開。来館者の質問にも気軽に答えて、ファンとの交流を楽しんでいらっしゃいます。

「好色五人女」お夏清十郎



「ギリシャ悲劇」王女メディア


目玉座


「十二星座」双子座
もの心ついた時には、人形を作っていた!
寿三郎さんの人形は、小さな貝殻のお姫様から人間大のものまで。その時々関心のあるテーマや、十年来暖めているテーマで作られることもあるそうです。

「小さな頃から、もの心ついたときにはもう人形を作っていた」とおっしゃる寿三郎さんの人形を、間近で拝見するのはこれが初めて。あまりの迫力に息を呑みます。
怖いけれど・・
毎月「人形舞とシャンソンの夕べ」が開催されるというコーナー(目玉座)に足を踏み入れると、薄暗い部屋の明かりの中に、「十二星座」の神々たちが浮かび上がってきます。

その大きな人形たちは、まさしく神にふさわしい神秘的な微笑で見つめてきます。

華麗で大胆なデザインと、精緻をこらした素晴らしい技術!ひざのあたりまで伸びた長い手や、上半身の装飾とバランスをとるように重量感あふれる足。

思わず「すごい!」とため息をつきます。「十二星座」だけでなく、この部屋全体の雰囲気が少し怖い。怖いと感じながらも惹かれてやまない…

人形たちが意志をもって、まるで今にも動き出しそうだから? それとも、その静かな顔を見ていると、私の心の中を全て見透かされそうな気がするから、でしょうか。

「縮緬」が作り出す日本の伝統美
井原西鶴「好色五人女」


「阿蘭陀異聞」唐人お吉



「好色五人女」お万
2階は「蘭陀異聞」、「好色五人女」、「大日如来」、「花魁」などのシリーズが展示されています。

舞妓さんは、1月「正月」、2月「小梅」、3月「菜の花」…というように簪(かんざし)も季節に合わせますが、寿三郎さんの人形も季節に合わせた簪が使われています。

また井原西鶴の「好色五人女」に使われている着物は、寿三郎さんのオリジナルの色合わせが絶妙です。

どの人形も「縮緬」で作られていることを忘れるほどの、素晴らしい技術。これほど完成された「人形」を見たことがあったろうか?

人形たちがこんなに生き生きしているのも驚きでした。今にも動き出して「芝居」の続きを演じ始めそうなのです。かつては芝居を志したという辻村寿三郎さんだからこそでしょう。

寿三郎さんは、「人形にも寿命があるから、自分が死んだら人形たちも全てこの世から消えてほしい」とおっしゃっています。「ジュサブロウ館」の人形たちは、まるで寿三郎さんの分身として生きているかのようです。
「ものづくり」への熱い情熱
「人形を作るときには、何も考えない。もう次のことを考えている」寿三郎さんは、すべて決めてから一気に制作されるそうです。

最近は、古くて良い布が手に入りづらくなったとか。ちょうどファンの方から届けられたそろばん柄の布を肩にかけ、「日本の伝統柄をもっと活用して使えば良いのに」とも。

創作人形の素晴らしさと日本の伝統美を再確認できる「ジュサブロー館」に、ぜひ一度お出かけください!


イベント情報
寿三郎さんのグッズの数々


寿三郎さんからいただいたサイン!


●寿三郎さん自身が人形を動かす「人形舞」と「シャンソン」のコンサート!
毎月第三火曜日には、「ジュサブロー館」内の目玉座で、辻村寿三郎さんの「人形舞と、シャンソンの夕べ」が催されます。1名:5,000円 要予約。ジュサブロウ館まで。

●花倶楽部生け花教室 月3回(第1,2,4,月曜日)月謝7,500円花材費1,000円

●館内ショップ
辻村寿三郎さんの著書や、風呂敷、創作着物などを販売。「十二星座」などの絵葉書もあります。着物は寿三郎さんが個性に合わせて色重ねしてくださる1点ものです。
レポーターからひとこと
のれんをくぐって中に入ると、そこは人形たちの異次元の世界。寿三郎さんにお会いして何よりも感動したのは、人形や布への強い愛情と「ものづくり」に対するパワフルな情熱です。

人形町交差点から1〜2分。やぶ蕎麦の角を曲がるとすぐ右側にある、この素敵な博物館をぜひ一度訪ねてみてください!

開館時間:10時〜4時半、 入館料:1,000円
休館日:毎週水曜日、水曜日が祭日の場合は開館

コンサート問い合わせ(ジュサブロー館)
辻村寿三郎さん公式ホームページ